さまざまな販売活動をした結果、買い主が現れる。このとき、「最初に現われた買い主が、一番良い条件で買ってくれる優良顧客である」という認識を持っておくことが、売り主としては非常に重要となる。この最初に現れた購入希望者は、その不動産が売り物件としてチラシや住宅情報誌などで広告される以前から、その地域の物件を探していた人であることが多い。いつもチラシなどの広告を丹念にところが、「最初の客」に厳しい購入条件を提示されると、即座に断る売り主が多い。これは間違った行動である。最初の客を断ると次の客の出現は難しいし、仮に出現したとしても最初の客よりも良い条件で買ってくれることはほぼ皆無である。こんな失敗事例は、バブル崩壊後は山ほどある。「最初の客が最上の客」というのは不動産取引の基本中の基本であり、特にこれからの需給緩和時代にはなおざらのこととなる。高い。だから、最諦ることが望ましい。自分の希望をかなえる物件が出たら、最初に仲介業者にアクセスしてくる。当然、購入の意欲も非常に高い。だから、最初の客が現れたら、希望する購入条件が多少厳しいものであっても、交渉して売却す事例を紹介しておこう。そのため、売り主であるN社は、売り出して即座に買い主が現れたという事実に強気になり、買い主の提示した条件を一蹴してしまった。その後、再び工場の売却活動を開始したが、数年しても買い手が現れないまま、ついにN社は倒産に追い込まれてしまった。この事例が意味するのは、最初の買い主は、その工場(跡地)が必要であったからこそ、欲しかったわけだから、提示された条件について、価格を上積みする粘り強い交渉をすべきであったことだ。「売り出して最初に来る客が上客である」という基本認識をN社の経営者が持っていれば、希望売り出し価格通りにはならないにしても、早期に売却できて資金化に成功したはずである。